玄関引き戸とその敷居の補修 repairment of sliding doors and their rails of lounges
9. 倉庫口
9-1 初日
通用玄関と正面玄関が完成して,残りは倉庫口である。積み上げてきたので,この三番目の作業が最も簡便になると想像していたが,全く違った。今日,実施したことを次に。
まずは,図59に見える内側から見て右手の引戸と柱の間の固定金具を外した。正面玄関,通用玄関,そしてこの倉庫口のいずれにも固定金具が使われている。業者さんの考えの無い仕業だ。この倉庫口の外側からみて左手の隅(図60左隅)では,雨が吹き込んでその水が乾かないために,図63のように,雨風が集まる右引戸の右側の戸車は錆び落ちて,この周辺の下棧が膨れている。この防御策としては,日常的にいずれの引戸も開け閉めすることだ。そのように設計されているのに,まるで西洋式ドアと同じ発想で引戸の機能が破壊されているのである。
通用玄関同様,この倉庫口でもジャッキアップが必要であった。図60のように支え棒がメキメキと頽れる寸前までジャッキアップしたが,限界だった。図61のように,ジャッキアップ一杯あっても,上棧の戸首も肩も鴨居木部に隙間が無いほどに位置していて,全く外すスペースが生まれない。



ほぼ絶望して,別途,レールを引き抜くことはできないかとも考えたが無理なので,試しにレールごと引戸を手前に外そうとした。幸い,図62のように,ガタッとレールごと外れたのである。


この倉庫口の引戸はかなり湿気でやられている。このままでは,釘もカンナも使えないと考え,タワシでこすったりした。緑藻が生えている。敷居の内外が土間であることにも起因しているようである。乾燥ぎみの冬季でもこれだから,梅雨時はひどいものであろう。通用玄関と正面玄関では下棧と敷居の隙間はほぼ無いに近いスタイルであるが,この倉庫ではそのスタイルから,この改修工事で離脱しようと思った。後にその工夫を示したいと思っている。
この湿った状態では戸車の交換はできない。できれば一週間ほどは引戸を外して乾燥させたいのであるが,防犯上それもできない。



レールの再設置も戸車の交換も今日はできない。防犯上の理由もあって,とにかく,レールなしで,戸車を外した引戸を元の位置に仮置きするしかない。それが図66である。さて,これを内側から撮影したのが,図64と図65である。
図64には,右側引戸と右柱の間にV字型の隙間,図65には,左引戸と左柱の間に^字ガタ隙間。これを解消するためには,各引戸それぞれの二つの戸車の固定面に差を設けなければならない。課題である。
Jan. 25, 2021記入
9-2 第二〜第四作業日の日程
今後の作業プロセスを次に挙げたいが,通用玄関とは違う対処が必要である。一つの引戸に二つの戸車を付けるのには経験上,一日仕事。上棧を削ってしまうと引戸は引っかかりがなくて,倒れてしまう。レールを付けると上棧を削るのが前提。第二作業日には,レール設置+両引戸の上棧削り,第三作業日には,右引戸の戸車設置,第四作業日には,左引戸の戸車設置,となる。
- 第二作業日: レール設置に1時間。このあと防犯上,最低でも両引戸の上棧を削り込む必要がある。その時間は3時間ほどか。それゆえ,最低4時間だから,日没5時半として,作業は遅くとも,午後1時開始だから,自宅出発11時半の必要がある。僕としてはかなり早い始動時刻。
- まずはレール設置。真鍮レールはすでにマイペット水拭き,5-56吹きかけ,拭き取りを終了して倉庫に保管している。花崗岩の敷石もマイペット水拭きは終わっている。真鍮レールの穴に残った釘除去をしなければならない。工法は通用玄関のものと同じである。釘は,まずは,正面玄関同様,ベニア止め25mm長ネジを打ち込んでみる。駄目な場合,真鍮製のSPフロア釘を15mm長に切って使用する。
- 次に,上棧の削り込み。ジャッキアップで外せないほど鴨居ギリギリなので,首と肩それぞれ4mm削っても問題がない。で,以下に述べるが,通用玄関とは違って,戸車の設置点を2mmずつ削り込むことはしないので4mm削っても鴨居に入らない可能性が高い。まずは,右引戸だけ,上棧の戸首と肩を,4+1=5mm削って,もちろん戸車装着なしで,レールに載せてみよう。入らなければ,さらに1mmずつ削ることになる。レールを動かすほどギリギリに入るようならば,さらに1mm削る必要がある。そして,左引戸も同様のことをして,当日は完了である。補助鍵も設置して鍵掛けだが,2mmほど高くなるので,鍵掛けができないかも知れない。まあ,仕方がない。上棧の削り方は次のページで。
- 第三作業日: 右引戸の戸車を設置する。図63のように,内側から見て,右側の戸車の付近がかなり風化している。戸車周辺の板が大きく外側に膨れている。削る訳にも行かないので,そのままにする。図63では下棧の溝が黒く変色している。カビかもしれない。布で強く拭き,釘も入らないようであればノミで軽く削り落とすしか無いであろう。アルミフォイルによる補強も考えられる。通用玄関とは違って,湿気回避の一つの手段として,引戸とレールの間によりスペースを取りたいと思う。図64のように右引戸と右柱の間のV字隙間を解消すべく,右戸車については木ねじ設置面を2mm削り込むことにする。できれば1mmぐらいに押さえたいがV字隙間の解消ができない。湿気排除のためにもV字よりもまだ^字ぎみの方が良いと思う。左戸車の木ねじ設置面は一切削り込まない。補助鍵を設置して,この日は終了である。
追記 Jan. 28, 2021: 通用玄関と同様,鋳物戸車の旧タイプから新タイプへの交換であり,図30が適用される。実際の作業過程で適切な形を取りたいと思う。新タイプは,i=3mmだから,戸車設置の後,下棧底部からエプロンが1mm高だけ出たままだと,下棧底部から2mm奥がローラー下端になる。内側から右の引戸ではその右側を左側より低くしたいので,エプロンの下棧から出ている高さは,右で1mmだと,左で2mmになる。この形を理想とする。つまり左では釘付け部の彫り込み一切しないのである。この組み合わせで,右引戸を倉庫口のフレームに入らない場合は,戸車のエプロンの出を,右0mm,左1mmとする。さて,どうなるか? - 第四作業日: 左引戸の戸車を設置する。図65のように^字の隙間がある。この隙間は小さいので,内側から向かって右側,つまり左柱から遠い方の戸車を木ねじ設置面を1mmだけ削り込む。左引戸の内側から見て左側,つまり左柱に近い方には削り込みをしないで戸車を設置すること。
以上で,倉庫口の修復は終了するはずである。
Jan. 26, 2021記
9-3 第二作業日の実際
Jan. 27, 2021にはタニハに13時10分前に到着,17時35分には所定の作業を終了することができた。レール交換は1時間弱,引き戸上桟の削りこみはそれぞれ2時間弱で実施することができた。上棧の削り込みは5mmで十分であった。完了後の鍵掛けも問題がなかった。
次の図67は設置後のようすである。25mm長のベニア止め用のステンレス釘(上段中央)を打ち込むことができた。外からみて,上段左に左端の,上段右に右端の様子を示している。

図68は正面玄関での作業の様子である。ガラス戸に鍵関係の出っ張りがあり,床を傷つけないように(過去の反省から),座布団を敷いている。図69は内側から見て右引戸の上棧肩の削り込みが終わったところ。図70では上棧戸首の竪棧をノコで切り取ったあとで,これから平カンナで横棧を削る。



図71には両引戸の上棧を削った後に,レールに載せた結果の鴨居付近のようすを示す。左は内側からみて右引戸,中央と右は左引戸のそれぞれ右手と左手の様子である。削る前は全く隙間が無かったがかなり余裕ができた。特に,中央と右の写真では引戸が外れるのではと思わせる。ただ,今後,戸車を設置するので,問題はない。


図72を見ると,8mm角の真鍮レールが,引戸に切られた溝に完全に填まっている。これまでこの事実を知らなかった。この情報を踏まえて,戸車設置過程について,次の第三作業日の前に,再確認し,上掲の第三作業日の工程に追加したい。
以上,Jan. 28, 2021記
9-4 第三作業+第四作業の実際
昨晩でこの倉庫口を終了した。


Jan. 31, 2021 第三作業開始。図73の右引戸の右の戸車部分は,最も風化している場所だ。旧戸車を外して,放置して多少乾燥されたためか,初日作業時とは違い,木質の湿気はほぼなかった。50年の湿気による膨らんだ部分に平鉋で多少,削り込んだ。お金を稼ぐ大工さんだったら,この裾板を全部交換ではないだろうか。釘付け部分は弱くなっている。釘も残っていた。図74の左の戸車付近では竪棧と裾板の間が外れていて,出ている部分を平鉋で削った。図73と74を比較するとわかるが,左の戸車は右の戸車よりも釘付け部分を深く削り,填め込んでいる。
前述のように,溝底と下棧底との距離は8mmである。右と左の戸車のローラー底はそれぞれ,4mm,3mmにした。左戸車のエプロンは下棧底より1mmほど出ている。幸い,この右の引戸は倉庫口枠に入れることができた。そして,図75のように,右引戸と右柱のV字の隙間は消失した。上棧と鴨居の関係を示したのが図76,77である。何とか引っかかっている。さらに鴨居が沈んでも,もう引戸が外せなくなることは無いだろう。
なお,図73のように,右引戸の通気性をよくすべく,下棧底を平カンナで多少,削り込んだ。



次の図78〜80は,左引戸の戸車である。 当初,左引戸のエプロンを2mm出したが,レールをクリアしないと考え,更に削り込んでしまった。その結果が図79であり,図81に見られるように,左引戸と左柱の^字隙間が改善されなかった。そこで,図80のように,アルミ箔を釘付け部分に挟んでエプロンを1mmほど出した。その結果が図81である。





図81と図82の間には,隙間の解消に向かう改善が見えない。更に左引戸左戸車の釘付け部のアルミ箔を厚くすればいいのだが,疲れてしまって,これで良しとした。倉庫だしね。簡易鍵はより入りやすくなった。鍵の劣化が進んでいるので,同製品の改善版が販売されているので,ヨドバシに注文中。
おわりに
1月末で何とか,正面玄関,通用玄関,そして倉庫口の引戸はスルスルと動くようになった。何十年と動きにくかった状況が改善できた。引戸の汚れを落とせば完了であるが,これはまだやる気がしない。このWebページを書き始めたのは,12月17日になっている。この作業になんと1ヶ月半を要したのである。退職後の「大きな」成果の一つになった? やばいよ,と思いつつ,この部分のストレスは解消した。タニハの玄関から入るたびに,倉庫を開けるたびに,ストレスを感じてきた。
次は,さしあたり,既存の大工ツールなどを処分して,ツール棚を整理する,玄関口の廊下のものを片付ける,てなことが次の課題ですなあ。徳之島調査の準備もさらに進めないと。本日,スーチーさんが軍のクーデターで拘束されたらしい。スーチーさんのこれまでのストレスは凄いのでしょうなあ。ロヒンギャ虐殺,虐待を認めて,西欧世界に阿るよりも,自国民優先,これは当然のことだなあ。
Feb. 1, 2021


